先日、お客様の車両整備工場で実際にご対応した
「高圧ガス消費にまつわる不具合」のお話です。
[点検ご依頼内容]––––––––––––––––
お客さま:車両整備工場さま
点検依頼:溶断で使用するアセチレンガスが止まってしまう
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酸素とアセチレンを混合させて溶断作業をしようとすると、
度々、乾式安全器のガス供給遮断機能が作動して
アセチレンガスの供給がストップしてしまうという現象が発生していました。
作業する方にしてみると、一向に作業が進まずに、
さぞイライラされたことだと思います…
乾式安全器には逆火が発生した時に、
内部の消炎フィルターで炎の伝播を阻止すると同時に、
アセチレンガスの供給をストップする機能が備わっています。
その機能が度々作動している訳なのですが、
逆火が発生しなくても遮断機能が働きガスをストップさせてしまうことがあるのです。
では、その遮断機能作動の契機は何かご存じでしょうか?
実は逆火の炎や熱ではなく、
逆火による圧力の作用によって遮断機能が作動するようになっているのです。
なので、逆火が発生していなくても、
乾式安全器以降のホース内の圧力(二次圧)が設計圧以上に高くなってしまうと
遮断機能が作動してしまうのです。
そんなことを思いながら、
問題が発生しているお客様のアセチレンガスの二次圧を確認すると…
「0.06MPa⁉」
通常で使用する圧力にしては高いけど、遮断機能が作動するよう圧力ではない…
切断器のアセチレンのバルブを開けてみると勢いよくガスが出てくる!
圧力調整器のハンドルも見た感じ結構締めこんでいる様子。
回して確認すると、案の定MAX圧力の設定状態となっていました…
一度、圧を抜いてから圧力の設定を試みましたが、
圧力調整器のハンドルを回して二次圧を上げようとしても、
ダイヤフラム越しに調整弁を押し込む感覚はあるものの、
圧力計は0MPaを示したまま。
そこで、
念のために切断器のアセチレンのバルブを開けてみると、
これまた結構な勢いでガスがでてくるではありませんか…
要するに、
圧力調整器の圧力計が不良で、正しい消費圧力を確認することができずに、
異常に高い圧力で供給していることに気が付かず、
乾式安全器の遮断機能を作動させてしまっていたという事案でした。
しかし、
ここまで示す圧力に誤差がでる圧力計に出会ったのは初めてだったので、
こんなこともあるのだと良い勉強になりました。
[保安点検まとめ]–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
依頼:溶断で使用するアセチレンガスが止まってしまう
原因:圧力調整機の圧力計不良により高い圧力設定となり、乾式安全器の遮断機能が作動
対応:各種ガス器具、設備の日常点検と定期的交換
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アセチレンガスというのはとても不安定なガスで、
圧力が高い状態では分解爆発を起こす危険性が出てきてしまいます。
ですから0.13MPa以上では使用してはならないと労働安全衛生法でも定められています。
安全を確保する為にも、適正なガス器具を使用して適正な手順、管理のもと
ガスを使っていただきたいと日々願っています。
ちなみに、
厚労省所管の機関から技術指針が発行されており、
各ガス器具のメーカー等による定期点検頻度が以下のように示されています。
圧力調整器 製造年月から7年
吹管(切断器) 製造年月から7年
乾式安全器 使用開始から3年
ガス器具につきましては、費用対効果を考えると
点検よりも新しい器具への交換が絶対にオススメです。
「自社のガス器具、設備は大丈夫かな?」
と、一瞬でも気にかかったのであれば、この機会に確認、点検をされてみて下さい。
ご相談もお待ちしております!
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